あわいを往く者

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金枝を折りて

Windy Hill  
田舎村の少年シェイダールは神託により父を喪った。以来、神はいないと信じている。だがそんな彼が、新たな王の候補者に選ばれた。神の力を身に宿す王、その力を受け継ぐべき者として。
いもしない神に支配される国など変えて見せる――決意と共に王宮へ向かったシェイダールの前に、王殺しの儀式と太古のわざが立ちはだかる。
謎と秘密、絡み合う思惑の中を手探りで進む彼が目指すのはひとつ。
「もう誰も、神のために死ななくていい国を」
(サイトの紹介文より)
 
 神のちからを用いて政を執り行う王。その後継者は世襲に依らず、ちからの器たるべき資質によって決定される。類稀なる能力を見出され跡目候補の一人として選ばれたシェイダールは、神を信じないがゆえに初めのうちこそ反発するものの、人々の幸せのために、大切な人の命を守るために、いにしえの秘術の謎に立ち向かう。
 ともに苦難を乗り越え信頼を築く主従の他、登場人物達がとても魅力的で、各所で萌えツボを突かれまくりました! が、やはり特筆すべきは、色や音、《詞》を使う神秘の術、ウルヴェーユ(彩詠術)。読むほどに、見えるはずのない「ちから」がまざまざと脳裏に浮かび上がってくるようです。
 信仰と人智と、感情と理性と。物語を楽しみながらも、神秘のわざが炙り出す幾つもの命題を考えさせられずにはいられません。
 激動の果てに迎えたラストシーン、かつての彼らの姿が思い出され、目頭が熱くなりました。

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