あわいを往く者

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WEB小説リンク集

タブレット搭載アンドロイドを購入してみました

モギイの森  
独身OL貞子の元へ『自らを』配達したのは一体のアンドロイド。(サイトの紹介文より)
 
 アンドロイド搭載タブレットじゃなくて、タブレット搭載アンドロイド。タイトルばかりか章の見出しも凝っていて、頭のてっぺんから尻尾の先まで気の利いた物語です。(残念ながら尻尾は附属していないようですが)
 最初は脚本形式にちょっぴりとまどったのですが、いざ読み始めたら全然気にならないばかりか、二人(一人と一台?)の声が聞こえるかのようなテンポの良い会話に、すっかり嵌まり込んでしまっていました。
 お互いにかみ合っているような、かみ合っていないような、そんな二人(一人と一台)が面白くて、楽しくて、一気に最後まで読んでしまいました。うぃーん、と「言う」タブ君が最高ですv

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和菓子さま 剣士さま

日々楽々  
高三でようやく青春することができた慶子さんと
和菓子屋の若旦那(?)との未知との遭遇な物語。
季節の和菓子も出てきます。
(サイトの紹介文より)
 
 部活に進路に悩む高校生の日常を描く、青春群像です。丁寧でしっとりとした語り口が、まさしく上品な和菓子のようで、もう、いくらでもおかわりしたくなります。
 特筆すべきは、穏やかでおっとりとした慶子さんの、最強天然ぶりです。嫌味も無ければ、わざとらしくもない、読み進めるほどに、慶子さんが慶子さんである事に深く頷き、そしてホロリとさせられてしまう。そんな彼女の目を通して見た世界の、なんと愛しい事か。
 全編を通じて慶子さん視点の情景にもかかわらず、他の登場人物の心情が読み手にきっちり伝わってくるのが、また素晴らしくて。彼女ならではの独白も合わせて、隅々まで楽しませていただきました。

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夏の女王

鈴の鳴る場所呟きの歌  
――私は女王の国にいる。(サイトの紹介文より)
 
 ほんの少しだけ未来――いつ現実と重なってもおかしくない、未だ来たらぬ世界――のお話です。
 静かに語られる、夏の思い出話。見慣れた懐かしい風景が、少しずつ、少しずつ、既知のものから乖離していくさまに、すっかり虜になりました。淡々とした文章に変わりはないのに、途中訪れるカタルシスはあまりにも劇的で、一瞬にして鳥肌が立ちました。今でも、思い出すだけでみぞおちの奥が締め付けられるような気がします。
 ぎらぎらとまばゆい日差しの中、紆余曲折の果てにそれでも前を見つめる主人公の姿が、とても美しいです。
 昔懐かしい翻訳SFを彷彿させる雰囲気も、もろにツボに嵌まりましたv

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