あわいを往く者

 [?]

WEB小説リンク集

50音別 » あ行 » あ

アイオライトの心臓

 
異常な痣とともに少年ロクドは生まれた。
左の指先から手首までを、深い深い暗闇の沼に浸したような、異常な痣──それは、彼の人生を決定づける、忌まわしい呪いの印だった。
呪いを解くため、そして再び家族とともに暮らすため、少年は旅に出る。
魔術師カレドアのもとで修行を積みながら手がかりを探すロクドだったが、ある静かな夜、街で奇妙な少女に出会い……。
大陸の北西に位置する架空の国家を舞台とした、呪いの謎を紐解く魔法と貴石の正統派ボーイミーツガール系ハイ・ファンタジー。
(サイトの紹介文より)
 
 故郷の地に埋められていた禍の種を一身に引き受けた少年ロクドと、あまり他人と深く関わろうとしない魔術師カレドアが、ひょんなことから結んだ師弟の縁。光纏う不思議な少女との邂逅を経て、そこにもう一組の魔術師師弟の軌跡が重なり、やがて呪いの謎は、五百年前に葬り去られた悲劇を炙り出す。
 瘴気の大平原、光の神の加護を受け何百年と回り続ける風車、ひたひたと近づいてくる恐るべき奇病、悲劇、そして破滅。物語そのものもとても好みですが、それを支える世界観にも興味を惹かれました。カレドアが魔術についてロクドに語る場面の、なんとわくわくすることか!
 それに加えて、登場人物達がまた魅力的で。師弟コンビのなんとなく血圧低めな関係は言わずもがな、例の魔術師の兄弟弟子コンビのバディっぷりにも心臓を射抜かれました。いやあ、いいわあ、むっちゃ好き。
 読み応えたっぷりの正統派ファンタジー、とても美味しかったです。

タグ:             


愛などない / 30度の傾斜角

呉ノ朱
  • 作者:呉ノ 朱人 様
  • 掲載サイト:呉ノ朱 R18
  • 備考:一部性描写あり
 
真面目で厳格な女教師・一乃だったが、生徒会長・白倉の罠に嵌められ、翻弄される。白倉の思惑とは…?(サイトの紹介文より)
 
「愛などない」と「30度の傾斜角」。この二つは、二人の出会いにまつわる出来事を、それぞれの視点で描き出した、表裏一体の物語です。
 同シチュエーションを男女双方の視点で描く手法は、決して珍しいものではありません。語り手の視野を狭める事で、お互いの人物像にそれぞれ齟齬を生じさせ、「あの時コイツってばこんな事を思ってたんだ」的な意外性をもって、読者を引き込む技法です。
 ところが、この二作の場合、それぞれ主人公の目を通して物語が展開しているにもかかわらず、相手の心情が読み手にも充分伝わってくるのです。まず、これが凄い。どちらを読んでも、一乃さんは一乃さんであり、白倉氏は白倉氏なんです。お互いの表情も、そこから読み取る事の出来る感情の起伏も、二つの作品でブレる事はありません。
 なのに、「30度の傾斜角」を読んだ途端、世界の奥行きが一気に広がるのです。白倉氏の人物像にしても、過去について筆を割かれた文字数以上のものが、彼の背後から感じ取れるのです。とにかく、凄い。単純に双方向の視点で物語が二本分、ではなくて、もっともっと沢山の物語が相乗効果で生まれてくる、それが凄い。
 
 とにかく、予断無しで作品世界に浸っていただけたら。と、いつもにも増して抽象的な紹介文で失礼いたします。

タグ:         


朝焼色の悪魔

 
九州の地方都市で謎のホームレス集団死が発生、それに関わった少年が虫が炎に飛び込むように自ら命を絶った。彼らが死ぬ前に言った共通の言葉は「アカイ」。それは、ある男の野望の下に仕掛けられた、バイオテロの始まりであった・・・。(サイトの紹介文より)
 
 新種のウイルスによるバイオテロと、それに立ち向かう人々の物語です。
 題材が題材だけに残酷な場面も現れますが、タフで魅力的な登場人物達のお陰で夢中で読み進められました。凛々しくて強い由利子さんと、どこまでもイイヒトな葛西巡査のコンビがお気に入りです。
 シリアスな場面が続くかと思えば、時々、ニヤリ、とほくそ笑むようなネタが仕込まれてて、飽きさせてくれませんv

タグ: