あわいを往く者

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WEB小説リンク集

蝶を吐く

 
その世界では、蝶を吐くことは最高のエンターテイメント。舞台に立つパフォーマの吐き出した蝶に、今夜も観客達は魅了される。街一番のパフォーマであるオリエを、マネージャとして支えるジェラは、彼の吐き出す蝶の美しさに誰よりも憧れている。そんな彼らの前に現れたのは、新米パフォーマの女、カマラだった。友情と憧憬、愛情と嫉妬。最後に残る感情は――。
※こちらの作品は、犬井 作さん、室木 柴さん、やまめさんの主催する「蝶を吐く」企画に参加のため、執筆した作品です。
(サイトの紹介文より)
 
 カラフルでも歪だったり、単彩でも完璧な形だったり、それぞれの才能を、そして個性を見せつけるかのように、パフォーマー達は口から蝶を吐く。それがこの世界で最も人々にもてはやされるエンターテイメントなのだ。
 冒頭で披露される、街一番の腕前を持つオリエのパフォーマンス。彼のマネージャーであるジェラとともに幻想的なステージに心を奪われていたら、ほどなく、それまでの認識をダイナミックにひっくり返されました。一瞬にして再構築される、新たな世界の姿。蝶を吐く、という行為に託されたもの。独特の世界観にあっという間に呑み込まれました。
 オリエとジェラの夢を、友情、愛着、嫉妬といった様々な想いを乗せて宙を舞う色とりどりの蝶の、なんと美しいことか。我々の現実とは似て非なる世界で、我々と同様に悩み惑う彼らの姿から、目が離せません。

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図書館ドラゴンは火を吹かない

 
 財宝の番人として古今に名高いドラゴン、その一頭であるリエッキが守るのは今は亡き司書王の図書館だった。
 書物の庇護者たる彼女は、火竜であるにもかかわらず決して炎を吐かなかった。
 炎は本を燃やすものと、そう断じて。
(サイトの紹介文より)
 
 物語好き、本好きならば、喰いつかずにはいられない、ストーリーテリングという魔法。その威力たるや、物語の外側にいるはずの我々読み手すら、虜にしてしまうほど。複数の時間軸を自在に行き来する語りに、心地よく踊らされます。
 少女の姿に身をやつした火竜と、その「親友」である比類なき語り部の、絆の深さに何度も泣かされたかと思えば、因縁の宿敵「左利き」のアンビバレンスに萌えいやむしろ燃え、「相棒」の空気を読まないハイテンションっぷりに癒やされ(ええ、大いに癒やされ)、そして何より美しい文章そのものにも酔いしれました。
 
 それでは、説話を司る神の忘れられた御名において――はじめましょう。
 
 
書籍化されました! 紙の本として是非お手元にどうぞ!

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「デビィ&レイ」シリーズ

不思議な世界へ扉を開けて  
賞金首のヴァンパイア、レイと元人間のゾンビ、デビィはハンターに追われ、様々な町を転々としながら様々な事件に巻き込まれていく。ロード・ムービータッチの連作ホラー(一話読みきり)です。(サイトの紹介文より)
 
 とある理由でモンスター達が人間に紛れて存在する、パラレルワールド・アメリカ。異形のものどもに脅威を感じた人類社会は、モンスターを狩るハンターという存在を合法化した、んだけど、でもちょっと過剰防衛じゃないの、という世界で生き抜くモンスター達の物語。
 クールで見た目も美しく、文字通り超人的な能力をふるうレイですが、12歳まで人間として育てられたせいもあるのか、時々やたら人間臭い面が顔を出すのが素敵です。ギャップ萌え!
 対するデビィは、不幸な事件に巻き込まれるまではフツーに大学生をしていただけあって、基本はフツーの青年で、でも、ここぞという時にはタフさを発揮するナイスガイ。
 題材が題材ですので、ちょっと血が吹き出したり腕が飛んだり内臓がはみ出たりすることがありますが、アメリカドラマやバディものが好きな人にお勧めですv

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天空の彼方

天上の藍  
時は、米中戦争の最中。
日本の航空自衛隊が、命運をかけて打ち上げたミサイル防衛母艦、オデッセイ。
その若き女性指揮官、右京奏と、女性戦闘機パイロット獅堂藍。
右京、獅堂、二人の闘う女の恋愛を中心に送る、近未来恋愛ファンタジーです。
(サイトの紹介文より)
 
 近未来、突然変位のように現れたベクターと呼ばれる新生種と、現人類である在来種との間に生じた軋轢が、戦争という形で人々の目の前に噴出。個人と国家、更に種としてのそれぞれの思惑に翻弄され、迷いながらも、夢を、存在意義を求めて足掻く人々の姿から目が離せません。
 SF仕立てのバイオテクノロジーネタ(好物です)も、航空自衛隊や警察といった戦う組織のハードな描写(大好物です)も、読み応えたっぷりで、時間を忘れて物語を追ってしまいました。冷静に計算された物語の容赦のなさといったら、登場人物の置かれた理不尽な状況に、何度歯軋りし涙したことか。世界をまたにかけた、壮大なラブストーリーに大満足です。

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タブレット搭載アンドロイドを購入してみました

モギイの森  
独身OL貞子の元へ『自らを』配達したのは一体のアンドロイド。(サイトの紹介文より)
 
 アンドロイド搭載タブレットじゃなくて、タブレット搭載アンドロイド。タイトルばかりか章の見出しも凝っていて、頭のてっぺんから尻尾の先まで気の利いた物語です。(残念ながら尻尾は附属していないようですが)
 最初は脚本形式にちょっぴりとまどったのですが、いざ読み始めたら全然気にならないばかりか、二人(一人と一台?)の声が聞こえるかのようなテンポの良い会話に、すっかり嵌まり込んでしまっていました。
 お互いにかみ合っているような、かみ合っていないような、そんな二人(一人と一台)が面白くて、楽しくて、一気に最後まで読んでしまいました。うぃーん、と「言う」タブ君が最高ですv

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ツーリングを少々

P Is for Page  
25歳OL 趣味は書道、クジラグッズ集め、それにツーリングを少々(サイトの紹介文より)
 
 どこか泥臭く、体育会系で、それでいて爽やかでカッコイイ。この話を読んで先ず思ったのが、「私もバイクに乗ってみたいかも」でした。
 ある日突然「バイクに乗ろう」と思い立った珠緒が、おろおろしながらも免許を取り、ツーリングに出かける。他愛も無い人生のひとコマに、こんなにも沢山のモノが詰まっているという事にはっとさせられました。過不足の無い文章の見事な事、情景がすうっと頭に入ってくるのも感動です。
 特定の車種の名前を出さない、という作者様のコメントに、同じ事を考える人がいた、と一人喜んでいたのはここだけの話ですv

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