あわいを往く者

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EARTH FANG

The Spirit of the Mystic Valley  
新石器時代のシベリア。神霊を敬いながら暮らす〈森の民〉のもとへ、南から、太陽神を信仰する開拓者たちがやってきた。友好の使者として送られたマシゥと、狩人の青年ビーヴァの、友情と闘いの物語。
狩猟民族、シャーマニズム、シベリア諸民族の民話・神話を題材にしています。
(サイトの紹介文より)
 
 シベリア風の世界を舞台に、異なる文化・価値観を持つ二つの民族が出会い、衝突し、どうしようもない状況に陥りながらも、それでもより良き未来を求めて足掻く人々の物語です。
 森を敬い、森を構成する一員として大自然に寄り添うようにして生きる森の民に対して、比較的温暖な南方出身の、森を切り拓き大地を耕し、大自然をも征服しようとする開拓者達。王の使者として少し遅れて開拓団に合流したマシゥは、森の民の狩人ビーヴァと親交を結び、彼らの生きざまを理解してゆく……のです、が。
 丁寧な筆致が、人々の生活や文化、信仰をあますところなく描き出すと同時に、血なまぐさい民族間の対立を容赦なく眼前に突きつけてくれます。寒冷地の厳しくも豊かな森の景色も、まるで目に見えるよう。
 人と自然との関わりを描いた壮大なる叙事詩、堪能させていただきました。

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交叉軌道

エメラルド☆ファンタジア  
兄と俺とハルの人生が交叉する。甘苦くて切ない恋物語。(サイトの紹介文より)
 
 優秀で完璧な兄・優と、兄を追うことを諦めた主人公の良、良の元同級生である兄嫁ハル、の三人が織りなす、切なくて、痛くて、でもどこか優しい物語です。
 成績優秀で運動万能に加えて容姿端麗な人気者、という、歩くカリスマな兄に対する良の複雑な感情が、読んでいて胸に迫ってきます。
 物語も魅力的ですが、それを綴る文章がまた私の好みど真ん中で。「兄が放つ光と引力は、容赦なくハルの軌道を撓(たわ)めた。」とか、たまりませんv タイトルをはじめとして、天体にまつわる比喩表現が多く使われているのですが、それが情景や心情にしっくりと馴染んでいるのが心地よくて、読みはじめたら最後まで一気読みでした。

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六條院の娘たち

 
本人の意向そっちのけで、年頃になると父の野心の道具となって、父が決めた『家』に嫁がされる娘たち。とはいえ、父の言いなりにはなっても大人しくわが身の不幸に甘んじているようなしおらしい性格をしている娘はひとりもいなかった。
結婚は父の都合、幸せになるのは自分の勝手♪ 産みの母親と性格の違う娘たちのそれぞれの恋模様。
(サイトの紹介文より)
 
 舞台は、1970年代の日本。「成り上がりの大金持ち」六条家の娘達に持ちかけられる、家同士の縁組の中で、自らの幸せを模索する彼女達の物語……なんて、通り一遍の説明では、このシリーズの魅力は語りきれません。
 我が身に降りかかる困難を、その芯の強さで乗り越えていく六条家のお嬢さん達が素敵なのは勿論のことですが、何より、彼女達の父親、六条源一郎という存在が、とてもいい味を出しているんです。彼の行き過ぎた親馬鹿が引き起こす騒動が、この物語の要だと言っても過言ではありません。
 焦れ焦れしたりほのぼのしたりする恋物語の間に差し挟まれる、企業経営にまつわる話もとっても面白いですv

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ライジング!

Arlequin
  • 作者:御堂志生 様
  • 掲載サイト:Arlequin R18
 
「富士には女神がいる」山岳警察には10年前からそんな噂があった。
女神の名は沖眞理子、階級は警部、富士山岳警備隊の隊長である。だが、彼女に纏わる噂は様々で、むしろ悪い噂のほうが多い。
表に立ちたがらない隊長に代わり、対外的な役目を果たす副隊長の南一之警部補。
問題を起こし富士に転属になったばかりの水原 健巡査部長。
総勢11名の隊員と、彼らを取り巻く人々のお話。
(サイトの紹介文より)
 
 架空の山岳警察を題材とした物語です。「本作は“なんちゃってレスキュー物語”です」との但し書きがありますが、現実には無いものを描く、ということこそが小説の醍醐味ではないでしょうか。個々の描写もその積み重ね方もとてもしっかりとしていて、安心して物語を楽しむことができました。
 緊迫したレスキューシーンは勿論、きめ細かな人間ドラマも読み応えたっぷり。そして、強くてカッコイイ沖隊長! 素敵! ピンと背筋を伸ばした生きざまとか、マジ惚れる。
 富士山は何度か登ったことがありますが、今度行く時には、彼らのことを色々妄想してしまいそうですv

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BLANCA

0℃の夢  
囚われの身となった敵国の若き将軍と、彼の監視人にさせられた奴隷の少女。
雪女王の支配する国エディルフォーレで、言葉の通じぬふたりは鉄格子越しに互いの心をぎこちなくたどる。
(サイトの紹介文より)
 
 名前すら持たぬ奴隷の少女の、おのれの境遇を充二分に理解した抑揚のない語りに、心が鷲掴みにされました。淡々とした文章の端々から、身を切るような寒さと耐え切れぬほどの空腹感が滲み出てくるのがお見事です。
 お互いに言葉が通じないゆえに、口から漏れるそれは単なる「音」でしか過ぎません。訥訥と交わされる「音」の果て、ついにそれが意味を持つ瞬間、胸がいっぱいになりました。その後、の物語も読み応えたっぷりですv

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残心

  • 作者:へい 様
  • 掲載サイト:note
  • 備考:一部性描写・流血描写あり
 
顔も頭も運動神経も並以下な主人公が、並以外の騒動に巻き込まれる恋愛犯罪小説。(サイトの紹介文より)
 
 幾つものテーマを幾重にも織り込んだ、読めば読むほど味のある物語です。
 一番外側にあるのは、型破りで破天荒でパワフルな登場人物達が繰り広げる学園青春ドラマ。五校合同体育祭を企画実行しようと頑張る彼らの、痛快学園物語です。その内側には、「管内一のバカップル」と謂われる二人にまつわる恋愛物語。全編を通して語られるのはこの恋愛譚なのですが、その更に内部に、もっともっと重くて深い題材が内包されているのです。
「行った罪」と「行わなかった罪」。謝罪とは何か。許すことの意味は。散らばったパズルのピースを一つ一つ集めていくほどに、眼前に突きつけられる、人間のエゴ。
 行間を魅せる文章にも、すっかり惹きつけられました。

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はいいろの糸

かなたへ
  • 作者:水城夕 様
  • 掲載サイト:かなたへ
  • 備考:一部性描写あり
 
私の父が、人を殺した。
その日から、平穏だった私の人生は音を立てて崩れた。
父が殺した女性には、幼く美しい兄妹が残されていた……。
数年後私は教師となり、彼らは生徒となって再会してしまう。
見惚れるほどの美少年に成長した彼に、私は惹かれはじめる。
「この恋は許されない。私の父が彼の母を殺したのだから」
(サイトの紹介文より)
 
 綿密に組み上げられたストーリーの鮮やかさに、読み進めるほど、来し方を振り返らずにはおられません。とにかく一切の予断なく読んでほしい物語です。(そういう意味では、四章の終わりに作者さんが自ら記された注釈も、二周目の楽しみに取っておくのをオススメいたします……)
 それは、あまりにも美しく、完璧な、それでいて傷だらけな愛。一転、二転と、様相を変える物語に翻弄される快感をどうぞ。

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天空の彼方

天上の藍  
時は、米中戦争の最中。
日本の航空自衛隊が、命運をかけて打ち上げたミサイル防衛母艦、オデッセイ。
その若き女性指揮官、右京奏と、女性戦闘機パイロット獅堂藍。
右京、獅堂、二人の闘う女の恋愛を中心に送る、近未来恋愛ファンタジーです。
(サイトの紹介文より)
 
 近未来、突然変位のように現れたベクターと呼ばれる新生種と、現人類である在来種との間に生じた軋轢が、戦争という形で人々の目の前に噴出。個人と国家、更に種としてのそれぞれの思惑に翻弄され、迷いながらも、夢を、存在意義を求めて足掻く人々の姿から目が離せません。
 SF仕立てのバイオテクノロジーネタ(好物です)も、航空自衛隊や警察といった戦う組織のハードな描写(大好物です)も、読み応えたっぷりで、時間を忘れて物語を追ってしまいました。冷静に計算された物語の容赦のなさといったら、登場人物の置かれた理不尽な状況に、何度歯軋りし涙したことか。世界をまたにかけた、壮大なラブストーリーに大満足です。

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山茶花

Y's Page
  • 作者:Y 様
  • 掲載サイト:Y's Page R18
  • 備考:一部性描写あり
 
たった今、紅をさし、時三郎が手ずから作り上げたところだ。おのれ好みの、おんなに。(サイトの紹介文より)
 
 江戸の町、岡っ引きの辰次が見かけた娘は、思い詰めた様子で池のほとりに立っていた……。
 かつて朗らかな少女だったお峰に訪れた、ふとした出会い。得体の知れぬ胸のざわめきが、次第に恋情へと変わってゆくさまが、細やかな筆致で綴られています。言葉一つ一つを注意深く選んで組み上げられたであろう文章は、流麗、の一言。浮かび上がる情景は勿論のこと、文字の並びにすら、酔いしれずにはおられません。

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風花~かざはな~

kuishinboの屋根裏部屋  
ゆき乃は祖母の亡くなった後山の上のお屋敷に下働きとして引き取られた。屋根裏部屋に住む少女は精一杯自分のつとめを果たそうと健気に働く。館の一人息子恭祐を思い、そして…(サイトの紹介文より)
 
 セピアシリーズという名のとおり、古い写真の中の風景のような、今はもう遠い時代を舞台に描かれるラブロマンスです。
 身分差を乗り越えてゆっくりと近づいてゆく二人に襲い掛かる、数奇にして過酷な運命に、何度も息を呑み、胸を締めつけられる思いに苛まれました。名家に渦巻く狂おしいほどの愛情と憎悪に翻弄されながらも、おのれの信じる道を選んだ二人の姿が、とても美しいです。

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Contract Lover

らぶはぴ  
「愛情を持ってはいけない」
それは契約から始まった。
(サイトの紹介文より)
 
 ある日会社の会議室に呼び出された美沙は、ひょんなことから上役の契約上の(しかも秘密の)恋人になることに。
 次第に彼に惹かれてゆくものの、折にふれ「契約」であることを思い出しては自制する美沙さんの様子に、読んでいるこちらまで切なくなってきます。
「ああ、これは演技なんだ」そう自らに言い聞かせては、「リアルなおままごと」を続行する彼女と彼の行く末を、目頭を熱くしながら見守りました。

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氷中花

LOVE NOTE  
女子高生と教師の三角関係モノ。三人称。シリアスじれじれ系。(一部R-18)
好きな人を忘れるために選んだのは凍えるような目をした喪服姿の行きずりの男。
入学式の日に思いがけず再会した二人は・・・。
(サイトの紹介文より)
 
 タイトルどおり、冴え冴えと身を切るような寒さの中、それでも懸命に咲こうとする花のような物語です。
 何も知らなかった行きずりの関係から、生徒と先生という禁断の枠組みの中に、そして更に思いもかけなかった複雑な運命のもとへと、放り込まれてしまう二人に、もどかしさとやりきれなさに身悶えしながら読み進めました。
 脳裏にまざまざと浮かび上がるラストシーンの美しさには、ただただ感無量です。

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華の誘惑

A-seat
  • 作者:文月 柊 様
  • 掲載サイト:A-seat R18
  • 備考:一部性描写あり
 
彼女を初めて見た時、自分のものにしたいと思わざるを得なかった。
十六歳の誕生日を迎える[優花]を、十年間待ち続けた[雅臣]。それが愛なのか、戯れなのか。気付くまでには、更に時間が必要だった
(サイトの紹介文より)
 
 流れるような文章が描き出す、美しくて、官能的で、それでいて眩暈がするほどに澄みきった空気が素敵です。
 十九歳も年下の優花ちゃんをこれでもかと翻弄する雅臣氏が、その実、逆に彼女に心乱されているさまが、たまりません。これぞ歳の差恋愛の醍醐味、と、一人にやにやしどおしでした。
 互いに寄り添ったかと思えば、また離れ、そうやって少しずつ心を重ねていく二人に、訪れる試練の数々。まるで映画を見ているかのようなドラマティックな展開に、何度も感嘆の溜め息が漏れました。

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タブレット搭載アンドロイドを購入してみました

モギイの森  
独身OL貞子の元へ『自らを』配達したのは一体のアンドロイド。(サイトの紹介文より)
 
 アンドロイド搭載タブレットじゃなくて、タブレット搭載アンドロイド。タイトルばかりか章の見出しも凝っていて、頭のてっぺんから尻尾の先まで気の利いた物語です。(残念ながら尻尾は附属していないようですが)
 最初は脚本形式にちょっぴりとまどったのですが、いざ読み始めたら全然気にならないばかりか、二人(一人と一台?)の声が聞こえるかのようなテンポの良い会話に、すっかり嵌まり込んでしまっていました。
 お互いにかみ合っているような、かみ合っていないような、そんな二人(一人と一台)が面白くて、楽しくて、一気に最後まで読んでしまいました。うぃーん、と「言う」タブ君が最高ですv

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ノヴァゼムーリャの領主

ぷんにゃごぱぁくす  
エルファラン国最北、貧しいノヴァの地に風変りな領主がやってきた。黒衣に身を包み仮面で素顔を隠す若い貴族、レーニエ。国境警備隊長ファイザルは静かに領主を見守るが(サイトの紹介文より)
 
 ファンタジーでも、魔法などの超常的なものは出てこない、どちらかといえば架空の国を舞台とした、ヒストリカル・ロマンスに近い物語です。
 数奇な運命に翻弄された者と、凄惨な過去を背負った者が、出会い、心を通わせてゆく様子を縦糸に、人々の生きざまや隣国との戦争が織り込まれて、見事なタペストリーを作り上げています。特に、北の大地とそこに暮らす人々の様子が筆致豊かに描かれていて、風景描写オタクとしては、それだけでもう大満足ですよv
 歳の差ロマンスの他、主従関係だとか、暑苦しい男の友情だとか、手に汗握る剣戟とか、萌えドコロいっぱいです。

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