あわいを往く者

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EARTH FANG

The Spirit of the Mystic Valley  
新石器時代のシベリア。神霊を敬いながら暮らす〈森の民〉のもとへ、南から、太陽神を信仰する開拓者たちがやってきた。友好の使者として送られたマシゥと、狩人の青年ビーヴァの、友情と闘いの物語。
狩猟民族、シャーマニズム、シベリア諸民族の民話・神話を題材にしています。
(サイトの紹介文より)
 
 シベリア風の世界を舞台に、異なる文化・価値観を持つ二つの民族が出会い、衝突し、どうしようもない状況に陥りながらも、それでもより良き未来を求めて足掻く人々の物語です。
 森を敬い、森を構成する一員として大自然に寄り添うようにして生きる森の民に対して、比較的温暖な南方出身の、森を切り拓き大地を耕し、大自然をも征服しようとする開拓者達。王の使者として少し遅れて開拓団に合流したマシゥは、森の民の狩人ビーヴァと親交を結び、彼らの生きざまを理解してゆく……のです、が。
 丁寧な筆致が、人々の生活や文化、信仰をあますところなく描き出すと同時に、血なまぐさい民族間の対立を容赦なく眼前に突きつけてくれます。寒冷地の厳しくも豊かな森の景色も、まるで目に見えるよう。
 人と自然との関わりを描いた壮大なる叙事詩、堪能させていただきました。

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王たちの機械

 
「脊柱」と呼ばれる塔があった。
そこでは数多くの機械が、それぞれの役割を持って動いている。
機械は「精神」を持たない。
それこそが「人間」と「機械」の圧倒的な差である。
人間は言う「脊柱には関わるな」と。

しかし今、ユウリとキリアは「脊柱」を目指す。
自らの記憶と意思のチカラで。
(サイトの紹介文より)
 
 一度は滅びかけた「人間」が再び甦りつつある世界、「機械」の領域に立つ「脊柱」という名の塔に挑む少年と少女の物語です。
「精神」を持ち得ないがゆえに「精神」を持つ人間に執着し、「精神」を奪い取る「機械」達。「精神」を奪われた「人間」は、不可解なちからで肌を剥ぎ取られて死んでゆく。そんな理不尽で恐ろしい敵でしかなかった「機械」ですが、謎が明かされてゆくにつれ、恐怖はその矛先を変え、容赦のない現実がじわじわと腹の底を冷やしてゆきます。
 精神とは、意思とは何なのか。何が人間を人間たらしめるのか。砂嵐の中にそびえ立つ、緩やかなS字を描いて天と地を繋ぐ塔、の映像がとにかく印象的で。センスオブワンダー、たっぷり堪能させていただきました!

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惑星ファルファーレ ―星の雨が降る海―

 
 地球から植民して七百年の時が過ぎた惑星ファルファーレ。そこには超常能力を持つ者たちがひっそりと暮らす島がある。
 ある日惑星を襲った災禍を機に、ファルファーレの社会は少しずつ変わり始めた。
 超能力を持つ集団を、それを持たない人々の社会は受け入れることができるのだろうか?
 それとも決裂しかないのか?
 惑星と島の命運をかけて社会と融和しようと苦闘する能力者の少年と、彼らを受け入れるべく力を尽くす若い海軍士官を中心にした群像劇。
(サイトの紹介文より)
 
 地球外惑星への移民、超能力者、そして冒頭から天地《あめつち》を揺るがす流星の災禍。実にSFらしい超現実的な世界を舞台に展開するのは、しっかりと地に足をつけた、人々の物語です。
 三百年に亘って、ちから持たざる者と隔絶して暮らしてきた孤島コラム・ソルの住民達の、独自の価値観や暮らしぶりにとても興味が惹かれました。同時に、そこから足を踏み出そうとする少年サッタールの姿にも。
 幾つもの思惑が入り乱れる中、サッタールに忍び寄る魔の手とは。対するアレックスを始めとする海軍の皆さんが格好よくってねえv 手に汗を握りながら、夢中になって読み通してしまいました。

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「デビィ&レイ」シリーズ

不思議な世界へ扉を開けて  
賞金首のヴァンパイア、レイと元人間のゾンビ、デビィはハンターに追われ、様々な町を転々としながら様々な事件に巻き込まれていく。ロード・ムービータッチの連作ホラー(一話読みきり)です。(サイトの紹介文より)
 
 とある理由でモンスター達が人間に紛れて存在する、パラレルワールド・アメリカ。異形のものどもに脅威を感じた人類社会は、モンスターを狩るハンターという存在を合法化した、んだけど、でもちょっと過剰防衛じゃないの、という世界で生き抜くモンスター達の物語。
 クールで見た目も美しく、文字通り超人的な能力をふるうレイですが、12歳まで人間として育てられたせいもあるのか、時々やたら人間臭い面が顔を出すのが素敵です。ギャップ萌え!
 対するデビィは、不幸な事件に巻き込まれるまではフツーに大学生をしていただけあって、基本はフツーの青年で、でも、ここぞという時にはタフさを発揮するナイスガイ。
 題材が題材ですので、ちょっと血が吹き出したり腕が飛んだり内臓がはみ出たりすることがありますが、アメリカドラマやバディものが好きな人にお勧めですv

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ライジング!

Arlequin
  • 作者:御堂志生 様
  • 掲載サイト:Arlequin R18
 
「富士には女神がいる」山岳警察には10年前からそんな噂があった。
女神の名は沖眞理子、階級は警部、富士山岳警備隊の隊長である。だが、彼女に纏わる噂は様々で、むしろ悪い噂のほうが多い。
表に立ちたがらない隊長に代わり、対外的な役目を果たす副隊長の南一之警部補。
問題を起こし富士に転属になったばかりの水原 健巡査部長。
総勢11名の隊員と、彼らを取り巻く人々のお話。
(サイトの紹介文より)
 
 架空の山岳警察を題材とした物語です。「本作は“なんちゃってレスキュー物語”です」との但し書きがありますが、現実には無いものを描く、ということこそが小説の醍醐味ではないでしょうか。個々の描写もその積み重ね方もとてもしっかりとしていて、安心して物語を楽しむことができました。
 緊迫したレスキューシーンは勿論、きめ細かな人間ドラマも読み応えたっぷり。そして、強くてカッコイイ沖隊長! 素敵! ピンと背筋を伸ばした生きざまとか、マジ惚れる。
 富士山は何度か登ったことがありますが、今度行く時には、彼らのことを色々妄想してしまいそうですv

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天空の彼方

天上の藍  
時は、米中戦争の最中。
日本の航空自衛隊が、命運をかけて打ち上げたミサイル防衛母艦、オデッセイ。
その若き女性指揮官、右京奏と、女性戦闘機パイロット獅堂藍。
右京、獅堂、二人の闘う女の恋愛を中心に送る、近未来恋愛ファンタジーです。
(サイトの紹介文より)
 
 近未来、突然変位のように現れたベクターと呼ばれる新生種と、現人類である在来種との間に生じた軋轢が、戦争という形で人々の目の前に噴出。個人と国家、更に種としてのそれぞれの思惑に翻弄され、迷いながらも、夢を、存在意義を求めて足掻く人々の姿から目が離せません。
 SF仕立てのバイオテクノロジーネタ(好物です)も、航空自衛隊や警察といった戦う組織のハードな描写(大好物です)も、読み応えたっぷりで、時間を忘れて物語を追ってしまいました。冷静に計算された物語の容赦のなさといったら、登場人物の置かれた理不尽な状況に、何度歯軋りし涙したことか。世界をまたにかけた、壮大なラブストーリーに大満足です。

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