あわいを往く者

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頂き物 九十九の黎明×シダル

 綿野さん作「シダル 信念の勇者と親愛なる偏奇な仲間達」(カクヨム版小説家になろう版)と、我が「九十九の黎明」のコラボイラストを、綿野さんが描いてくださいました!!!! しかも4枚も! ありがとうございます!!!
  
「シダル」は、タイトルを見てもわかるとおり、勇者とその仲間達が織りなす物語です。四百年に一度、地の果てに現れる魔王を倒すために神々が選ぶ聖剣の勇者。二十三代目となる勇者シダルと〈剣の仲間〉である神官、賢者、魔法使い、吟遊詩人が魔王討伐の旅に出る、と聞けば「よくあるファンタジーRPGみたいな話ね」と思われるかもしれませんが、「よくある」なんてとんでもない。世界設定といい物語の展開といい実に独特で、それでいて昔読んだ海外児童文学の懐かしい香りもして、あっという間に心を鷲掴みにされてしまいます。
 ワンダーに満ちた世界観、緻密に組み上げられたストーリー、幻想的かつ端整な文章、そして何より登場人物達がすごくいい。推せる。
 その推しキャラと自作のキャラを並べてもらえるとか、最高ではないですか! ファンとしての自分と創作者としての自分が、手を取り合って大喜びしております!
  
  
 まずは一枚目。黒髪青い目仲間の勇者とモウルです!
watano_reimei-sidal.jpg
 以前モウルのイラストをいただいた際、目の色について話していた時に即興で描いてくださった絵です。綿野さん曰く、「黒髪に青い目仲間だぁ! と思ってどんどん近づいてくるバンデッラーと、この濃い人は何なんだろうと思っているモウルさん」とのことです。
  
 バンデッラーというのは、伝説の秘境(=勇者の出身地)にいるという「凄まじい勇猛さでもって魔獣を単独で狩る」伝説の戦闘民(=勇者)です。顔には魔を退ける紋様を描き、真っ赤な鳥の羽のマントを羽織り、この絵では見切れてしまっていますが獲物の牙や角を腰回りにジャラジャラぶら下げています。あまりにも目立ちすぎることから、早々に普通の服に着替えさせられてしまいますが。
 勇者自身が自覚していない秘境要素は服装のほかにも色々あって、不意打ちのようにカルチャーギャップが飛び出してくるのがまた面白くて。物語は主に勇者の視点で描かれているので、読みながら何度「そうだったんかーい!」とツッコミを入れたことか。
  
 勇猛なれど獰猛にあらず、人が好くて、誠実で真っ直ぐで、舞台が大阪だったら行き交うオバチャンというオバチャンに山ほど飴ちゃん貰えそうなぐらいいい奴な勇者。
 そんな彼なので、モウルがよそゆき笑顔なんて見せた日には、きっとこんな感じで屈託なく近づいてきてくれることでしょう。
 ツイッタにて、きっと勇者は「この髪、すごいな! って喜ぶだろうなぁ」と、「そして触ろうとして嫌がられるまでが一セットですね」なんてことを言われていましたが、ぐいぐい来られて露骨に尻込みするモウルが目に浮かぶようですw そのくせ、オーリやウネンがモウルよりも先に勇者と打ち解けてしまった日には、絶対いい感じに拗ねるんですよね……w たーのしーい!
  
  
 次は、仏頂面背が高い仲間の賢者とオーリです~!
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 こちらは、去年の私の誕生日にいただいた「お絵かき券」を使って描いていただきました! シダルの挿絵風で、「一触即発に見えるが特に何も考えていないオーリと賢者」とのことです。
  
 身長がオーリ191cm、賢者195cmぐらい、ということで二人並ぶとなかなかの迫力。しかも二人揃って仏頂面。近くで見たら圧迫感がすごそうです。
 シダルの世界では、自分が持っている魔力の色が瞳に現れる体質の人がいて、賢者の場合は虹彩が影を纏っているみたいに見えるのです。モウルの髪の毛と同様で、周辺の光を吸い込んで、そこから闇が滲み出ているような。勇者は賢者と初めて対面した時に、この目を「奈落に引きずり込まれそう」と評していました。黒づくめの服装も相まって、想起した単語がズバリ「魔王」。ついでに、「今まで出会った生物の中で一番恐ろしい」という第一印象です、あのバンデッラーをして。
 しかし見た目とは裏腹に賢者は智を尊び美を愛す繊細な性質で……、まあ、気難しいし、人付き合いが苦手で愛想も悪いから、ある意味印象どおりとも言えるかもしれませんが……、とりあえず上の絵の賢者は、オーリを見て
(……シダルより大きいな)
 なんてことをほんわり思っているそうです。
  
 オーリはオーリで、賢者に対して
(背が……高いな……)
 とか考えてそうですね。ほんわりと。
 勇者もおののく暗黒の瞳に対しては、「珍しい目の色だな、モウルの髪の毛みたいだな」と思っても、怖がりはしないんじゃないかな……。見せかけの殺気(?)か本物の殺気かは区別がつくでしょうし、何より自分が散々モウルに怖い顔怖い顔って言われてるから、怖い顔認識が弛くなってると思うので。
  
 かくして、絵面は剣呑だけど二人の間には実に平和な空気が漂っているのでしたw 周囲の人間は何か色々と誤解してそうですが。たーのしーい!(二回目)
  
  
 そして三枚目は、小柄で中性的で緑の瞳仲間の吟遊詩人とウネンです!
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 す っ ご く 可 愛 い !!!!
  
  上の賢者&オーリの絵を描いていただく際にこの二人のことも話題にのぼりまして、そのすぐあとに体調不良で臥せっていたら、こんな可愛いイラストを見せてくださったのです。一気に元気になりましたよ!
  
 吟遊詩人は、鷲族という小柄で陽気な一族出身で、十二、三歳に見えるけれど実際は十七歳の少年――いや、鷲族は十五で成人するから青年というべきか――です。ウネンも作中で十二歳ぐらいによく間違われていたから、こうやって二人並ぶと、実にお似合いで絵になりますね! 可愛らしい見た目の小学五、六年生が鳥さんの巣を見つけてキャッキャしてるの、むちゃくちゃ微笑ましいです……(*´ω`*)
 秘境しか知らない勇者、塔に引きこもって学究一筋の賢者、世俗を離れ信仰に生きる神官、マイペースがすぎるというかそもそもヒトならざるエルフの魔法使い、と個性豊かな剣の仲間において、一番一般的な感性を持っているのがこの吟遊詩人で、それゆえ彼はツッコミ役にまわりがちです。
 ウネンも結構ツッコミ体質なので、そういうところもお揃いですね。勇者のバンデッラー仕草やモウルのひねくれた態度などに、是非とも二人揃ってステレオでツッコミを入れてほしい……。
  
 綿野さんには、「女の子同士だと思って微笑ましく見守っていたら男だと判明し、スッと背後に現れる保護者達……」なんてコメントもいただきました。たーのしーい!!(三回目!)
 オーリは、勇者あたりに「吟遊詩人はいい奴だ」とか言われたら「そうか」と素直に気にしなくなるでしょうが、猜疑心の強いモウルはすぐには割り切ることができず、しかしあまり大人げない態度も見せたくないので、その結果、オーリにチクチクと八つ当たりすると思います……。モウルよ……。
  
  
 と、これだけでももう充分すぎるほど幸せなのに、なんと、更なる一枚をいただいてしまいました!
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 吟遊詩人とウネンで装備品の取り換えっこですよ!! ウネンの杖を吟遊詩人が持って、吟遊詩人の帽子とマントをウネンが着用しています!
 エッなに、このシチュエーション、むっちゃエモい……。
  
 黄金色に染まる景色も実に美しいです。夕闇に沈みつつある草むらで、残照に浮かび上がる二人の姿……。この光と影の具合がすごく絶妙でドラマティックです。ここから物語が始まってしまう……!
  
 よく見れば吟遊詩人のほうがちょっぴり腕や肩が逞しいんですよ。ポーズもね、二人の性格が出てますよね。
 見栄えが良いように帽子を支えてくれているところとか、屈託なく構ってくれる吟遊詩人がすごくありがたいです。ウネン、人見知りはそこまでしませんが、若干受け身なところがあるのでね……。
  
 隅々まで見入っていたら、背景なしの全身像も見せてくださいました!
watano_reimei-sidal4_.jpg
 逆光で暗くなってしまっていた足元も、これでよく見えます! あらためて、座り方もホント二人らしい……(*´ω`*)
 ウネン、普段あまり服装を気にかける余裕がないから、お洒落な吟遊詩人に帽子とマントを貸してもらえて、とても喜んでいると思います! これには保護者もほっこりですよ。
  
 最後に、画面のこちら側に控えているであろう仲間達&保護者達について、ツイッタでの楽しすぎる会話をリンクしておきますね。
  
 綿野さん、素敵なイラストをありがとうございました!!
(2023/11/30 追記)
 ちょっとした折に、モウルと魔法使いという「警戒組」を描いてくださいました!!!
 片やニコニコよそゆき笑顔で、片やにゃんこみたいに(可愛い)「しゃー」って(可愛い)互いに警戒しています。
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 モウルはよく喋るし社交的ではあるんですが、人と深く関わることに慣れてなくて、あの愛想の良さもある種の予防線を張っているようなところがあります。踏み込んで拒絶されるのが怖いし、踏み込まれるのが怖い、その結果のよそゆき笑顔ですよ。警戒心バシバシですよ。この絵の見事な解像度に全わたしが大喜びしています!!
  
 一方、魔法使いは妖精とも呼ばれるエルフです。彼らは基本的に人間社会とは離れたところで生きていて、人と会話するようなことはまず滅多にないとのこと。神託で〈剣の仲間〉に選ばれたこの妖精さんは勇者達にはとても懐いているけれど、「人間、嫌い」なんて彼らにこぼしちゃうぐらいには人間と相対するのが苦手なんです。
 ちなみに、魔法使いが仲間達をどう認識しているかを小説本文(第二部第一章)から引用すると――
  
勇者:狼みたい/毛の硬い、狼。ふさふさしていて、駆け回っていて……でも強い/犬の仲間だから……とても、素直
吟遊詩人:フェアリみたいだし、犬みたい……金色で、巻き毛の犬
神官:どんぐりの、精霊
賢者:森の暗いところに、棲む生きもの
  
 ――あまり人間と思ってなかった。
 そんな魔法使いがモウルを前にしたら、そりゃあ「しゃー」ってなりますよ!(可愛い)
  
 上のイラストをいただいたあとのやりとりから、宇宙猫なモウルが発生するに至るのですが、そちらはブログをご覧ください。
 綿野さん、素敵なイラストと山盛りの幸せをありがとうございました!
(2024/1/11 追記)
 なんとなんと、シダル&九十九の主人公グループ全員集合!な年賀状をいただきました!!!!嬉しい!!!
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 剣の仲間五人のうち神官だけはまだうちのキャラと絡んだことがなかったので、いつか機会を見つけてお願いしちゃおう(強欲)って思っていたんですよ。新年早々に願いが叶いました!!ヤッター!!
  
 神官は、神の強い加護を受けた天才治療師です。豊富な医術の知識に加えて顕現術(≒魔術)や顕現祈(≒魔法)のわざも凄まじく、内臓が破裂したり胸に穴があいたりなんなら手足が多少欠けてしまったりしてもそれらを治すことができるほどです。
 だが。彼には圧倒的に生活力というものがない……そもそも体力もなければ運動神経もない……旅を始めた頃なんて気の毒なほど痩せぎすで、悪路に力尽きて勇者に負ぶわれることもありました。ほら、甘いお菓子だよ、もっとお食べ……。
 しかしメンタルの強さは半端なくて、悩み惑う仲間達の心を支える圧倒的包容力に、何度胸を打たれたことか! 理知に裏打ちされた揺るぎのない信仰が皆に与える救いに、ほんとうのさいわい、を垣間見たような気がします。
  
 ……そんなふうに、とりわけ逆境で輝く彼なので、このクロスオーバーほのぼの空間では両陣営の仲を取り持ったり仲間のフォローに回ったりするんだろうなあ、なんて以前から漠然と思っていたんですよ。絵を見た瞬間、まさに、まさに、とにこにこしてしまいました。木の枝で他人の頭をつつこうとしてる姿なんて見たら、絶対に止めに入ってくれることだと思います。ていうか、この状況だと神官以外に止める人いないのでは???
  
 勇者も神官と同じく止めに入るとは思うんですが、いかんせん今はオーリにバンデッラー式狩猟術(横倒しにした弓で三本の矢を同時に射る技)を教えている最中ですからね。ちなみにオーリは、こんな凄技の話を聞いたら絶対にソワソワ(※真顔のまま)するだろうし、教えてもらったら嬉々として(※表情には出ない)練習すると思います!
  
 賢者も、ウネンと地図を見るのに忙しそうですね。まぁ仮に手が空いていたとして、魔法使いに「やめなさい」と言いはしても止めに入りまではしないんじゃないかな……。
 ともあれ、基本が人間嫌いな賢者がウネンとお話ししてくれているのが嬉しくてたまりません! ウネンも賢者に色々教えてもらえて楽しいだろうなあ……(*´ω`*)
  
 そして、そして、宇宙猫モウルですよwww このボーゼンとした顔、何度でも見てしまうww
 こんな楽しいシチュエーション、吟遊詩人じゃなくても笑っちゃうに決まってます(そう、彼は魔法使いを止めることなく見守ってくれていました!)
 前回ブログに書きましたが、魔法使いのこの行動は、警戒をちょっぴり解いてくれた証しなのです。よかったね、モウル (*´艸`*)
  
 実際の年賀状は、銀色のペンで主線がなぞられていて、光にかざすとキラキラ光るんですよ。その写真はブログに貼りつけたので、是非ご覧ください!
 綿野さん、素敵な年賀状をありがとうございました!

綿野さんのサイトはこちら。
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