あわいを往く者

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黒の黄昏 後書き

 
 もともとR18指定だったこの物語を、「DIGクリエイティブアワード2012」に応募するために一般向けに改稿し、サイト改装に合わせて旧版と差し替えさせていただきました。
 当初は、締め切りまでに新作を書く自信がなかったことから、この賞への応募を諦めたのですが、過去に公開済みの作品(商業出版は除く)でもOKだと知り、既存作の中で一番派手で比較的キャッチーと思われるこの「黒の黄昏」で応募することにしたのです。
  
 思えば六年前、ひたすらレイとシキのいちゃこらを書きたい、という不埒な動機から、この物語は始まりました。自分が萌える場面さえ書ければいい、と、そんな勢いで、書き散らかしていたのです。
 それが、書いているうちに「物語を創り出す」ということそのものに対する欲が、段々と出てきましてね。途中何度も執筆が行き詰りそうになりながらも、読んでくださる人がいる、続きを気にしてくださる人がいる、ということに勇気を得て、なんとか「完」の文字を記すことができました。あの瞬間の高揚を、私は一生忘れないでしょう。
 とはいえ、冷静になって物語全体を見渡すと、端々に矛盾や破綻の気配を感じ取れ、かといって今さらどうすることもできず、ひたすら頭を抱えておりました。初稿完結時に「後日譚は書かない」と断言していたのは、この稚拙な構成のまま続きを書くと、下手すれば物語世界が崩壊しかねない、と思ったからなのです。
  
 三年前の改稿で、それら問題点をあらかた整理することができました。
 唯一心にひっかかっていた、某人物像とその行動との間に生じた齟齬も、今回の改稿で修正することができ、これで、安心して後日譚を書くことができそうですv
  
 甚だマイペースな作者で恐縮ですが、どうぞこれからもよろしくお願いいたします。
  
  
2013/1/24 GB 拝
三年前の改稿連載終了時の後書きは、以下に。

改稿を終えて

 
 初稿完結後二年半経って、とうとうやってしまいました。大改稿を。
 やる、と決めたからには徹底的に見直そう、と、一旦頭を白紙に戻して、必要なパーツを一からじっくりと組みなおしました。そのため、第一部に至っては印象がかなり変わってしまったことと思います。旧稿を気に入ってくださっていた方には申し訳ないのですが、作者の我が侭をお許しください。
  
 そもそも、旧稿連載の時点で前半と後半とで物語の雰囲気や方向性が変わってしまっていたのは周知のとおりで、そのギャップをどうにかしたいなあ、と連載中からずっと考えていたんです。三年の月日を経て、ようやく本懐を遂げることができました。お付き合いくださった方には、感謝の言葉もありません。本当にありがとうございました!
  
 それにしても。
 新たにエピソードを幾つも追加して、伏線も整理して、そうやって構成の根元に手を入れていくにつれ、登場人物の行動に説明不足な部分や矛盾がある部分が次から次へと炙り出されてきまして、何度悶絶したかしれません。どれだけ行き当たりばったりで書いていたんだ、自分……。
 文章そのものについても、視点がふらふらと迷走しているところが沢山見つかったし。あと、体言止めの濫用とか。その場のノリで書き散らした感がひしひしと伝わってくる文章に頭を抱えつつ、でも、この勢いは今の自分では出せないなあ、と懐かしく思ったり……。
 そんなこんなで改稿に着手して八ヶ月、たっぷりと過去の自分と向き合うことができました。もう当分はお腹一杯です(笑
  
 今回の改稿にあたって、温かいお言葉を沢山いただきました。一度公に発表したものに手を入れるという行為について、往生際が悪い、と自分でも思いましたが、作者として納得のいくものを公開したい、という欲求には勝てませんでした。それを受け入れてくださった方々の存在に、どれだけ勇気づけられたことか。心から感謝いたします。
  
 今度は新作でお目にかかれればいいな、と思っています。
  
  
2010/7/20 GB 拝