あわいを往く者

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夏の女王

鈴の鳴る場所呟きの歌  
――私は女王の国にいる。(サイトの紹介文より)
 
 ほんの少しだけ未来――いつ現実と重なってもおかしくない、未だ来たらぬ世界――のお話です。
 静かに語られる、夏の思い出話。見慣れた懐かしい風景が、少しずつ、少しずつ、既知のものから乖離していくさまに、すっかり虜になりました。淡々とした文章に変わりはないのに、途中訪れるカタルシスはあまりにも劇的で、一瞬にして鳥肌が立ちました。今でも、思い出すだけでみぞおちの奥が締め付けられるような気がします。
 ぎらぎらとまばゆい日差しの中、紆余曲折の果てにそれでも前を見つめる主人公の姿が、とても美しいです。
 昔懐かしい翻訳SFを彷彿させる雰囲気も、もろにツボに嵌まりましたv

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