あわいを往く者

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響空の言祝 きょうくうのことほぎ

コトカゼ  
歌によって命あるものを癒す歌鳥の民の少女・ハフリは、内気な性格と音痴ゆえの劣等感に苛まれ日々を過ごしていた。そんなハフリの前に現れたのは、翼持つ金色の獣を従えた少年・ソラト。導かれるように彼の手を取り、ハフリは草原の彼方へと旅立つが……。(サイトの紹介文より)
 
 一族のアイデンティティとも言うべき歌が上手くうたえず、自分の居場所を見つけられずにいたハフリ。自由闊達に見えて、その実、天候不順から村を救うという使命に縛られたソラト。そんな二人が、惑い、傷つきながらも、おのれに依って立つに至る物語です。
 文化や自然の描写が鮮やかで、旅行記をめくっているような心地になったり、主人公やその友人達の悩み多き様子に、青春小説を読んでいるような気持ちになったり、……そして、怒濤のクライマックスにはファンタジー心もガツンと揺さぶられました。
 小説という文字媒体を目で追っているにもかかわらず、読んでいて聴覚を刺激されるような気がしてならなかったという、不思議。歌鳥の民の癒やしの歌は勿論、風の音や笛の音など、「音」が強く心に残った物語でした。

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